話題の本、『その本は』を読みました。短編小説です。短編小説ですが絵本です。絵本ですが落語や小噺でいうおもしろいオチがあります。オチがあるのに涙が出そうになります。いままでこんな本があったのでしょうか。心をほっこり優しくさせる本です。まずは読んでみてほしいと思います。
図書館や書店で『その本は』は、自己啓発本または自己啓発ジャンルに分類される気がします。私はそれを見ると、「違うやろ」と心で叫んでいるかもしれません。しかしそれは私が自分勝手に思っていることです。どこにいても『その本は』にとって一番安心な場所にいてくれることが一番です。 紹介の常識を少し超えてしまうことを承知で一節を引用させていただきます。
そうか僕は図書館の本だったのか。 係の人がいなくなると、その部屋の本たちが声をそろえて僕に言った。 「おかえり。」 何もかも思い出したぼくは、急激に眠くなってきた。薄れゆく意識の中で、小さく言った。 「ただいま。」
『その本は』 Novelsman Comment<感想>
さすが芥川賞作家と世界中の本屋で売られている絵本を描く作家の合作です。中でもそれぞれの話しのオチとそのページの挿絵の相性がよくてとても印象的でした。おもしろいのに軽薄でありません、心地よく読み終えることができたという感想です。ウイキペディアによると長髪をなびかせている個性的な風貌の又吉直樹氏は無類の読書好きとありました。また、ヨシタケシンスケ氏は一流大学の大学院で造形分野の修士号を取得されているとありました。新しい本の形を創り出す、お二人の知識と感性に尊敬の念を深めるばかりです。
この本はたくさんの方が目を通した方がいい本だと、心から思います。『この本は』の読書をお薦めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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