社会小説

小説レビュー|ジャンル別

『ロスト・ケア』葉真中顕|あらすじと感想  ネタバレあります

「社会の穴」を鋭く突いてきます   小説『ロスト・ケア』は「老い」と「死」について、現代社会が抱える課題を真正面から切り込むミステリー小説です。老人ホームで発覚する殺人に検事は死刑を求刑します。しかし「彼」は世のために老人を殺すことを正し...
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『告解』薬丸岳|心情描写が秀逸です

 『告解』を読みました。薬丸さんの小説はどれも心情描写が真に迫り引き込まれて読み進めてしまいます。『告解』もまた私の心に刺さる言葉が続いて、最後は涙を流しながら読み終えました。  『告解』はひき逃げ殺人を犯して実刑判決を受けた若者が主人公...
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ブレイクニュース 薬丸岳|ネットの力は強くもあり恐ろしくもあり

 『ブレイクニュース』は軽いタッチで読むことができる小説です。読みやすいのにいろいろと考えさせられる読後感が残ります。それはこの小説が現代になくてはならないインターネットによる情報伝達、SNSを題材にしているからです。  主人公はユーチュ...
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『コイコワレ』乾ルカ|螺旋プロジェクト

螺旋プロジェクト作品のひとつ、『コイコワレ』を読み終えました。螺旋プロジェクト作品は「対立」をテーマに物語が進行します。時代を超えて大きな耳をもつ山族と蒼い目をした海族が争いを繰り返していくのです。 『コイコワレ』は太平洋戦争の中、二人の...
小説レビュー|おすすめ

『死にがいを求めて生きている』朝井リョウ|螺旋プロジェクト

 螺旋プロジェクト作品の一冊 『死にがいを求めて生きているの』朝井リョウを読み終えました。小説後半のたたみかけていく進行は圧巻です。私は夜を徹して一気読みしてしまいました。  平成の世の中、棒倒しや高さを競う組体操は姿を消します。小中学校...
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泥濘(ぬかるみ) 黒川博行|あらすじ&感想 疫病神シリーズ第7作

『泥濘(ぬかるみ)』はヤクザ桑原保夫とヤクザ慣れしている建設コンサルタント二宮孝之の疫病神コンビが、老人ホーム経営に絡む暴力団と警察OBの癒着をネタにシノギを得る(カネ儲けする)ハードボイルド社会小説です。シノギのためならどんな危ない橋でも...
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破門 黒川博行|あらすじ&感想 疫病神シリーズ第5作

黒川博行氏の「破門」を読みました。2014年発表の「破門」は第151回直木賞受賞作、小説が発表されて間もなくビデオ化されて話題になりました。疫病神コンビ、イケイケヤクザの桑原とヤクザ慣れしている堅気の建設コンサルタント二宮が映画プロデューサ...
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螻蛄(けら)黒川博行|あらすじ&感想 疫病神シリーズ第4作

黒川博行氏の疫病神シリーズ、「螻蛄」を読了しました。怖いもの知らずの疫病神コンビ桑原と二宮が巨大宗教法人に伝わる貴重な絵巻物をネタにシノギ(収入)を得ようと企みます。しかし二人の行く手にたちはだかるのは伝法宗慧教寺派の歪んだ内幕に乗じて大金...
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暗礁 黒川博行 |あらすじ&感想 疫病神シリーズ 第3作

暴力団二蝶会の桑原保彦は運送業者と警察の癒着をネタに運送会社から「シノギ(収入源)」を得ることを計画しています。桑原から運送業者との接待麻雀の代打ちに駆り出された建設コンサルタント二宮は、これを端緒に桑原とコンビを組んでシノギ獲得のために動...
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疫病神 黒川博行|あらすじ&感想 疫病神シリーズ第1作

黒川博行「疫病神」を興味深く読み終えました。黒川博行氏の「疫病神」シリーズの第一作として世に出た本作は大阪を舞台にしたヤクザ系ハードボイルドもので、私達にとって身近な産業廃棄物処理を題材にしています。主人公の無鉄砲な行動をどきどきしながら読...