マレーシア – 人の心にふれる旅

旅のつれづれ

二年ぶりにマレーシアを訪れました。クアラルンプール(KL)空港を一歩出た瞬間、南国の生暖かい空気が肌にまとわりついてきます。この感覚だけで、また戻ってきた、と実感できました。

KL散策

 街へ出ると朝から屋台の準備をする人、慣れた手つきで鍋を振る料理人、足早に通勤する人たちがそれぞれの一日を始めています。まだ自分が、以前のKL生活の延長線にいるような感覚で眺めているみたいです。
肉骨茶(バクテー)や福建麺、ラクサなど、記憶に残っている味を確かめながら食べ歩きました。独特の香りを放つペタイ(臭豆)料理。私にとってはたじろぐような匂いも、周囲の人達はごく自然にそれを口に運んでいます。マレーシアでペタイを食することは日常なのです。

 都会の高層ビルに点在するショッピングモールの洗練された空間と路地裏の屋台街(Hawker Center)、KLの街はさまざまな生活が混在します。何度訪れても「人が生きている場所」であることを強く意識させてくれる街です。

Coffee Plantation

 

今回の旅の目的の一つが、ジョホール州にあるリベリカ・コーヒー農園の訪問でした。ジョホールバル空港からタクシーで約1時間、高速道路を降りると景色は一変します。
ヤシの木とパイナップル畑の景色が延々と続きます。そこら中にくぼみのある荒れた道路をドライバーは慎重にハンドルを握ります。この土地で働き、暮らす人々の日常がそのまま道路に表れているように感じました。

 ” My Liberica Plantation ” 約50エーカーの敷地にリベリカ種のコーヒーの木が一面に広がっています。木々は作業しやすい高さに整えられ、農園の人たちが静かに、そして一本一本木の実の状態を確認していきます。
コーヒーの木には白い花、若い緑色の実、そして赤く熟した実が同時に育っています。その光景は日本の四季に慣れた目には不思議で、自然のリズムがまったく違うことを改めて思い知らされる風景です。

 果実がコーヒー豆になるまでの工程も見学しました。リベリカ種は果実が大きく、フルーティな香りが特徴とのことです。説明するガイドさんは、コーヒーや植物を愛でていることを感じる優しい語り口でコーヒー豆ができるまでの工程をつぶさに説明してくれました

 

 

 

My Liberica Green Been

 試飲したコーヒーはなめらかな味わいでした。コーヒー味覚に自信はありませんが、苦みを前面に出さないやさしい味と感じました。この農場の人々の努力と気持ちの詰まった一杯だと思うと、ますますおいしくいただくことができました。
 リベリカ種のコーヒー豆は日本ではまだ流通の少ない豆です。知人の焙煎所に紹介するために、生豆を少し買ってコーヒー農園をあとにしました。私の思い入れのあるこの豆が日本で人々にどんな表情を見せるのか、今から楽しみです。

 

Casino

 ゲンティンハイランドのカジノは、KLとは別の顔を持つ場所です。建物に入ると場内は中国語を話す観光客で溢れています。ひんやりとした高地の外気とうって変わって場内は独特の熱気に包まれます。
 テーブルに向かう人たちは、それぞれ期待を胸に抱えてバカラやルーレットに集中しています。目先をかえると、ディーラーやスタッフは客の熱量にまどわされることなく淡々と仕事をこなしています。非日常の空間も、支えているのは日常の労働であることを冷めた目で気づいてしまう私でした。

 私も最低賭金(ミニマムベット)の高さに少し身構えつつ、比較的少額で遊べるフロアで様子を見ることにしました。勝負ごとの緊張感は確かに心地いいのですが、運が続く保証はありません。どんな結果になろうとも冷静さを失わないことが何より大切ということはわかっています。しかし独特の熱気が、私をこの場所に5時間以上しばりつけてしまいました。身の丈を超えない範囲で楽しむ理性だけは、常に忘れないようにしたいですね。

春節と断食

 

   滞在中は春節(中国暦正月)とラマダン(イスラム教の断食月)が重なる時期でした。中華系友人宅では、家族が集まり、食卓に並んだお正月料理を前に笑い声が絶えません。紅包(お年玉)を配る風景は日本の正月と重なり、私も楽しいひと時を過ごす事ができました。
  一方イスラム教徒の友人たちは断食の真っ最中です。日中は水さえも口にせず普段通り仕事をしています。以前から見慣れたその姿には、ただただ頭が下がる思いです。それでも日没後、祈りを終えてから彼らは一斉に食事を始めます。当たり前ながら、たくさん食べます。宗教や文化の違いを超えて、食べることは人の原点なんだな、と再確認していました。

 

See You Soon !

 

   コーヒー農園で黙々と木に向き合う人。
 カジノで非日常を支える人。
 家族で鍋を囲み、笑い合う人たち。
この土地で「生きている人」の姿が強く心に残りました。ちょっと大げさながら、一人ひとりが自分の役割を果たすことで世界は静かに回っているな、と考えながら日本への機上でこの記事を書いていました。
 この感覚を胸に、また日常が始まります。お世話になったすべての人に感謝しつつ、

また戻ってこよう!

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